日常

しがない生活

0510

あー、自分のためには使われなかったそれらは、彼女のためには使われるのか、なるほど。と思った。その話をすると彼は途端に機嫌が悪くなる。面白いくらい話したくなさそうにする。自分から始めたのに。それは私への罪悪感を感じながら、でも認めたくない、というものからなのか、それとも、ただの私への威嚇なのか。それはわからない。ただわかるのは、あの頃の私より彼女がそうだということだけ。それを突きつけられている、それだけ。

別に今更掴みかかったりしないよ。そういう面があるのを知っている。もうあんな気持ちになるのは懲りごり。本当に懲りごり。

未練や恨みはない。ただ傷が残っていて、みんなもそうなように、自分もそう思っていたほど傷は浅くなかった。残った傷がそれらをかする出来事が起こるたびに痛んで、忘れさせてくれない。美化もされない。まだ二十歳だった時の思い出に、5年も経って尚苛まされる。誰にもわからない話なので、誰にも言わない。若かったとか青いとか、そういう言葉でまとめられない思いがまだふんわり漂っている。たぶんそれは、悔しさに近い。