日常

しがない生活

目の機能。

昔、(服を綺麗にする方の)アイロンで火傷をしたことがある。15年もたつとさすがに消えてしまったが、当時は「跡が残ると大変だ」とひたすら冷やされていた覚えがある。いつもそうだ、ケガをすると、「(女の子なんだから)傷が残ると大変」とよく言われる。なにが大変なんだろう。外傷なんてまだいい方で、他の人間は事故による傷に対しては情が湧く癖に、肌荒れや自傷跡にはものすごく冷たい。なんなら酷い。わからないことに対して、勝手に決めつける悪い癖が、みんなにある。

 

目に見えない傷は、どうやったら治るのか。

 

なにかしらの行為によってできた体の傷は、繰り返さない限り、いつか治る。けれど心が負ってしまった傷はどうしたら治るのだろうか。忘れることが上手な人と、忘れることが下手な人がいるそんな人は、忘れられなくて、どんどん蓄積して、排出できなくて、パンクしてしまうのだろうか。ふとした誰かの言葉で傷ついて、またふとした誰かの言葉でそれを思い出して、治りかけたそれは必ず、えぐられる。かさぶたを何度もめくるのと同じで、何度もめくられたかさぶたが痣になるのと同じだ。心は治らない痣でいつもいっぱいになる。

 

いろいろな言葉を、いろいろな人からもらってきた。自分もいろいろな人に、いろいろな言葉をあげているのだろう。投げつけているかもしれない。自分が蓄積しているのと同じように、君も蓄積している。言葉を使うのが上手な人は特に、たくさんの蓄積があるから、いい時も悪い時も、とても「上手に」働く。人はみんな、ほめられたことの裏側を考えない。だから、知らずに誰かに暴力をふるっていることに気づかない。これも、悪い癖だね。

 

目は、見えているはずなのに、見えてないことが多すぎる。自主的な機能に疎いのだ。けれど、見せるという行為には長けていて、すべて眼球一つにあらわしてしまう。人間の中で操るのが一番難しい機能だなと、そう思う。